2020 年 63 巻 2 号 p. 96-101
修飾Pd/MOFを触媒としてトランス-1-フェニル-1,3-ブタジエンの位置選択的な水素化を65 ℃,5.0 MPaの水素圧力(ゲージ圧)下の液相で検討した。MIL-101構造の金属-有機構造体MOF–CrはCr3+をコーナーのカチオンとし,カチオンをつなぐリンカーにテレフタル酸を用いて調製した。MOF–Crと基本的に同じ構造を有するNO2–MOF–Crにはリンカーとしてニトロテレフタル酸を用いた。コア-シェル構造のMOFは,NO2–MOF–CrをコアのMOFとし,これをシェルのMOF–Crで覆った。コアのMOF中のニトロテレフタル酸のニトロ基を還元して得られたアミノ基は,Pdを担持するために不可欠であった。PdはコアのMOFにのみイオン交換で担持された。MOF–Cr,あるいはコア-シェル型MOF–Crに担持されたPd触媒では,基質の二つの脂肪族C=C二重結合のうち,内部の二重結合が選択的に水素化された。一方,コア-シェル構造,かつt-ブトキシカルボニル(t-Boc)で修飾したMOFに担持されたPd触媒では,立体的効果のため末端のC=C二重結合が選択的に水素化された。