2018 年 24 巻 p. 74-88
本稿では,本特集の目的にそって,社会運動研究の側から,その現状と方法論的区分をふまえつつ,環境運動研究の課題を提起していく。まず環境社会学と社会運動研究の関係性を整理した上で,第2節で方法論的区分にそって解釈的研究と説明的研究に区別(前者をマクロ社会的意義,当事者にとっての意味,概念・カテゴリーとの関係の解釈に,後者を社会運動組織中心の説明,運動特性,アクションに関する説明にそれぞれ下位区分)し,また両研究が重視する点,運動の多様化への対応,研究の立場性の違いについて論じた。次に第3節では解釈的運動研究の代表例として中期トゥレーヌ理論を取り上げて検討し,環境運動研究に応用する場合の課題として①解釈理論としての認識,②理論の理解(概念と歴史的仮説,検証),③理論の妥当性(仮説相対化,後期理論)などを指摘した。第4節では説明的運動研究の主流である動員論について検討し,環境運動研究に応用する場合の課題(①説明理論としての認識,②定義に基づく対象同定と組織中心の仮説構築,③仮説の反証可能性)を示した。最後に解釈・説明の前提となる記述段階における環境社会学(環境運動研究)の特徴(自然・物質も含めた記述)が逆に社会運動研究にも影響を及ぼしうることを論じ,また社会/自然が接する水準を扱う「社会環境論」にも触れた。