本稿では,筆者らの共同研究グループが,宮城県石巻市北上町で取り組んできた,震災研究の「調査」とも,震災復興支援の「実践」ともつかない活動や働きかけの過程について,地元の地域 社会や人びとと,どのような対話や協働を試みてきたのか,再帰的な検証を試みる。筆者らは従来,同地で地域資源管理に関する調査研究を行っていたところ,東日本大震災が発生し,北上町は甚大な津波被害を受けた。筆者らは震災発生直後から,調査のもつ学術的な意味合いをいったん後退させることを決断し,震災以前からの地元とのかかわりに立脚した,復興活動支援の実践に身を投じてきた。その試行錯誤の過程を紐解くことで,環境と社会の〈あいだ〉を問おうとする環境社会学的な視点やかかわりによって,何が見えてくるのかを示す。また,このとき調査者の担うべき役割とはいかにして見出されうるのか,具体的にどのような「応答可能性」が考えられるのかについて,以下の 3 点を明らかにした。「北上調査」は,①政策・(地域)社会・人びとの生活の領域の〈あいだ〉の,隙間やギャップの存在とそれぞれの関係性を読み解き,「復興」過程そのものを問い返してきた。②災害前(従前の暮らしや資源管理)と災害後(地域社会の回復や復興のあり方)をつなぎ合わせるような,災間の視点を備えている。また,こうした応答関係から,③境界をもたない不断の試みとしての意味合いをもち,人びとが「新たな日常」を立ち上げていく営みに付き添おうとする。