2021 年 27 巻 p. 7-21
戦後日本社会は,明白な不正義をあたかも不運であるかのようにみなし,公害被害者を虐げ,尊厳を奪った体験を有する。環境社会学はそうした経験を背景に,自ら責任主体として公害や環境問題に応答しようとしてきた。本稿は本特集(特集 1)の解題として,このような学問的背景を持つ環境社会学が,いかに災害現象に応答しうるかについて考察する。まず「応答」の含意を公共社会学や公共人類学の議論のもとに整理し,災害現象に対する環境社会学独自の立ち位置を確認する。つぎに今後環境社会学が東日本大震災に応答していくためには,〈補い〉と〈償い〉という 2 つの応答文脈とその相補性をふまえた,複合的な研究戦略が必要であることを論じる。そのうえで,〈補い〉の文脈における順応的な応答のあり様や,〈償い〉の文脈における加害 ─ 被害論的基礎の意義を論じながら,各収録論文の概要と相互の位置づけを明らかにする。