2025 年 33 巻 p. 46-49
本研究は,水環境においてナノプラスチックが微生物に及ぼす影響を明らかにし,その制御指針を得ることを目的とした.正帯電ポリスチレンナノ粒子をモデルナノプラスチックとし,生育期の異なる大腸菌(対数増殖期および定常期)を用いて,塩分濃度を変化させた条件下で粒子曝露実験を行った.菌体サイズ,粒子付着量,細胞膜健全性,コロニー形成能力を,フローサイトメーター(FCM)および共焦点レーザー走査型顕微鏡(CLSM)等により評価した.その結果,低塩分条件では粒子付着が増大し,細胞膜損傷およびコロニー形成能力の低下が顕著であった.一方,高塩分条件では静電遮蔽効果により粒子付着および毒性が抑制された.対数増殖期の大腸菌では粒子付着による毒性が顕著であったのに対し,定常期では毒性が比較的低かった.これらの結果から,曝露環境のみならず微生物の生育状態も,ナノプラスチックの微生物毒性に大きく影響することが示された.