日本泌尿器科学会雑誌
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症例報告
神経線維腫症1型に合併した縦隔原発胚細胞腫の1例
嘉島 相輝齋藤 満土谷 順彦齊藤 元南條 博沼倉 一幸鶴田 大秋濱 晋井上 高光成田 伸太郎南谷 佳弘佐藤 滋羽渕 友則
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2015 年 106 巻 3 号 p. 178-184

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抄録

神経線維腫症1型は,NF1遺伝子の異常によりRASが活性化する疾患である.悪性神経鞘腫などの神経堤由来の腫瘍や,一部の非神経堤由来の悪性腫瘍を高頻度に発症することが知られているが,胚細胞腫瘍との関連は明らかではない.症例は神経線維腫症1型の29歳,男性.前縦隔に巨大な腫瘍と頸部リンパ節腫大を指摘され,当院を紹介受診.頸部リンパ節生検でyolk sac tumorの病理結果を得,縦隔原発胚細胞腫と診断した.化学療法と残存腫瘍切除により完全寛解を得た.これまで,神経線維腫症1型に合併した性腺外胚細胞腫の報告はない.胚細胞腫瘍の発生にはRASとの関連が指摘されており,自験例の縦隔原発胚細胞腫の発生とNF1との関連性が示唆される.

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© 2015 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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