日本泌尿器科学会雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
ISSN-L : 0021-5287
原著
前立腺がん放射線治療後における放射線性膀胱炎のリスクおよび治療に関する検討
千葉 量人菅原 翔鎌田 修平井上 敏史野積 和義宮崎 兼考井上 淳永田 真樹松井 とにか山口 邦雄
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 108 巻 2 号 p. 80-86

詳細
抄録

(目的)前立腺がん放射線治療後の放射線性膀胱炎(radiation induced cystitis:以下RC)はしばしば遭遇する有害事象であり尿路変更を要す症例も一部存在する.

今回我々は前立腺がん放射線治療後のRCについて検討を行った.

(対象と方法)2005年4月から2015年3月までに前立腺がんに対して根治照射を行った199例(以下:根治照射群)および前立腺全摘術後のAdjuvant/Salvage照射を行った104例(以下:adj/sal群)の計303例についてRC発症リスクや治療法についてRetrospectiveに検討を行った.

(結果)観察期間中央値は37カ月(1~132カ月)で,全303例のうちRCを発症したのは30例(9.9%)であった.根治照射群に比べてadj/sal群はRC発症リスクが有意に高かった(4.5% vs 20.1%,p<0.01).RC30例のうち20例は外来治療で軽快した.10例は入院加療が行われ,6例は尿路変更を要した.

尿路変更6例のうち2例は膀胱摘除を行わなかったが,術後の膀胱出血の遷延により在院日数が膀胱を摘除した4例に比べて長かった.

(結論)前立腺がん放射線治療後のRCはadj/sal照射で有意に多かった.尿路変更を要する症例が約2%に認められ,膀胱摘除をしたほうが術後経過は良好であった.

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本泌尿器科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top