2024 年 115 巻 1 号 p. 37-41
症例は14歳男子.12歳時に水腎症と腎機能の増悪を認め,近医で膀胱腫瘍,左尿管腫瘍の診断となった.前医で経尿道的膀胱腫瘍切除術,尿管腫瘍生検が施行され,線維上皮性ポリープの診断となった.尿管ポリープに対して経尿道的切除を試みられたが尿道狭窄を併発したため到達困難となり,左腎瘻造設,経皮的レーザー焼灼術が施行された.術後4カ月,尿管狭窄もきたし,尿路再建の目的に当院へ紹介となった.尿道狭窄に対して13歳時に包皮利用Palminteri法尿道形成術を施行した.逆行性腎盂造影,腎瘻造影検査で脊椎L4レベルに2cmの尿管狭窄,尿管鏡検査で脊椎L5レベルに残存ポリープを認めた.14歳時に尿管再建術を行った.端々吻合では吻合部の緊張が強いと考えられ,口腔粘膜利用拡大onlay法尿管形成術を行う方針とした.完全閉塞部と残存ポリープ部のみを最小限切除し,緊張のかからない尿管壁同士を一部端々吻合した.吻合部の対側の尿管壁は健常部まで十分にspatulateし,尿管ステントを留置後に15×40mm大の頬粘膜を縫着,頬粘膜のグラフト床として腹腔内から遊離した大網を吻合部に全周性に縫着した.術後13日で腎瘻を抜去,術後4カ月で尿管ステントを抜去した.術後1年および2年の逆行性腎盂造影,尿管鏡検査で再狭窄やポリープの再発は認めず,術後3年現在,左側腹部痛,腎盂腎炎,腎盂拡張などを認めず経過良好である.