日本泌尿器科学会雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
ISSN-L : 0021-5287
表在性膀胱癌に対するBCG膀胱内注入療法の平均観察期間5年における再発予防効果
橘 政昭中村 聡実川 正道出口 修宏馬場 志郎畠 亮田崎 寛
著者情報
キーワード: BCG, 膀胱腫瘍, 長期観察成績
ジャーナル フリー

1993 年 84 巻 4 号 p. 656-661

詳細
抄録

膀胱癌再発予防としてのBCG膀胱内注入 (BCG膀注) 療法の有用性について, 平均観察期間57ヵ月における長期観察結果の成績ならびに再発危険要因につき検討した. BCGは Tokyo 172 strain (日本BCG製造株式会社) 80mgを使用した. 週1回, 6週連続のBCG膀注を行い, 以後の膀注を施行しない群 (weekly 膀注群) と, その後月1回のBCG膀注を1年間にわたり継続した群 (monthly 膀注群) とに乱数表による割り付けを行った. 脱落あるいは不適確症例14例を除く102例における Kaplan-Meier 法による3年, 5年, 7年の腫瘍非再発率はそれぞれ77.3%, 68.5%, 60.6%であった. BCG膀注方法の差による検討では50例の weekly 群の5年腫瘍非再発率は58.4%に対し, 52例の monthly 群では74.4%であったが, 統計学的には有意な差を認めなかった. これを腫瘍非存在期間で検討すると weekly 群では41.7±18.7ヵ月, monthly 群は53.1±21.3ヵ月と monthly 群に有意な腫瘍非存在期間が認められた (P<0.01). これら要因の Cox 比例ハザードモデルによる腫瘍再発率に対する重みを検定すると, 腫瘍悪性度のみが統計学的に有意な再発危険因子として認められた (リスク比9.694, p<0.05).

著者関連情報
© 社団法人 日本泌尿器科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top