日本泌尿器科学会雑誌
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慢性片側性完全尿管閉塞腎におけるPAHクリアランスに関する実験的研究
恩村 芳樹
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1993 年 84 巻 4 号 p. 662-667

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抄録

慢性片側性完全尿管閉塞腎におけるPAHクリアランスを測定し, さらに閉塞期間によるPAHクリアランスの推移を究明するため, 以下の実験を行った.
実験方法: 雑種成犬30頭を用いて左側尿管を膀胱近位で完全結紮して閉塞期間3, 5, 10, 20, 40日の水腎症を作成した. 各閉塞期間終了後, 腎盂内尿を生理食塩水に置き換えた状態でPAH (p-amino hippurate, 以下PAHと略す) を一定速度で持続静脈内投与し, 腎盂内に排泄されるPAHを経時的に測定した. さらに腎盂容量, 血漿PAH濃度を測定しPAHクリアランス値を推定した.
結果: 1) 慢性完全尿管閉塞腎においてもPAH排泄能の存在することが確認された. 2) PAHクリアランス値は閉塞3, 5, 10, 20, 40日でそれぞれ26.3, 13.6, 1.0, 0.9, 0.9ml/hr/kg b. w. であった. 3) PAHクリアランスは閉塞10日まで急激に減少し, 以後一定化する傾向が認められた. 4) 本実験に応用したPAHクリアランス測定法は, 慢性完全尿管閉塞時の腎クリアランス能を評価するのに適していると思われた.

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