1993 年 84 巻 4 号 p. 668-673
手術治療に焦点を置いて, 我々の経験した腎盂尿管癌18症例について検討した. 腎不全を伴った尿管CIS症例と膀胱癌同時発生例で浸潤癌であった2症例をのぞいて全例に腎尿管全摘術および膀胱部分切除術を行った. 腎不全例には尿管部分切除術のみ施行し腎は保存した. また膀胱浸潤癌症例は膀胱全摘出術を行った. リンパ節郭清を全例に行い, 郭清範囲を患側腎茎部, 傍大動脈又は傍大静脈, 大動静脈間リンパ節, さらに総腸骨, 内腸骨, 外腸骨リンパ節および閉鎖節とした. リンパ節転移を4症例 (22%) に認め, 2症例は原発巣に近接したリンパ節に認めたが, 2症例はいわゆる skipped lesion であった. Skipped lesion は稀な現象ではなく, 手術治療の面より考えれば今回行ったリンパ節郭清は必要な手術操作と考えた.