日本泌尿器科学会雑誌
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癌化学療法時における顆粒球コロニー刺激因子 (Granulocyte Colony Stimulating Factor) の投与時期
岡根谷 利一鶴田 崇庭川 要川上 雅子小林 晋也小川 秋實
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キーワード: G-CSF, 膀胱腫瘍, 精巣腫瘍
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1993 年 84 巻 4 号 p. 680-685

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抄録

膀胱腫瘍あるいは尿管腫瘍に対する化学療法23コースと, 精巣腫瘍に対する化学療法10コースを施行する際, granulocyte colony stimulating factor (G-CSF) を投与した. 膀胱腫瘍あるいは尿管腫瘍のM-VAC療法では約半数が第11日までに末梢総白血球数が3,000/μl未満になり, その時点でG-CSFを投与しても速やかな白血球増加がみられなかったが, 第8日から5日間, G-CSFを予防的に投与することで速やかに白血球数が増加した. 同様に精巣腫瘍に対するEP療法では第9日目から5日間G-CSFを投与することで白血球数は速やかに増加し, 最低値は平均2,500/μl, また3,000/μl未満であった期間は平均1.2日のみであった. 従ってこれらの化学療法時には, 白血球減少が明らかになる前から, G-CSFを短期間計画的に投与することで, 骨髄抑制に伴う感染症の危険が軽減できると思われる. 今後泌尿器科領域においてもG-CSFが癌治療の安全性を高め, ひいては治療成績の向上に結び付くことが期待される.

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