日本泌尿器科学会雑誌
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膀胱腫瘍における尿中β-core fragment の腫瘍マーカーとしての意義
山中 望川端 岳森末 浩一羽間 稔西村 隆一郎
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キーワード: 膀胱腫瘍, 腫瘍マーカー
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1993 年 84 巻 4 号 p. 700-706

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抄録

膀胱腫瘍患者尿中に含まれる hCGβ-core fragment (β-CF) を測定し, その腫瘍マーカーとしての意義を検討した. Cut off 値を0.1ng/mg・Crとすると61.2% (30/49例) が陽性であった. 異型度別に検討した陽性率はG1=25.0% (2/8例), G2=33.3% (4/12例), G3=82.8% (24/29例) と異型度が高いほど高率であった. しかも, 尿中β-CF濃度も異型度に伴って高くなる傾向がうかがわれた. また, 遠隔転移を有する症例では100% (3/3例) の陽性率を示した. 腎盂尿管腫瘍では71.4% (5/7例) の陽性率であった. また, 根治術後の変化を検討し得た13例では, 腫瘍の再発を来した1例を除きすべて陰性化した. 一方, 前立腺癌および良性疾患群ではすべて陰性であり, 尿中β-CFは膀胱腫瘍および腎盂尿管腫瘍の腫瘍マーカーとして有用と考えられた.

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