1993 年 84 巻 4 号 p. 707-710
表在性膀胱腫瘍は, 頻回に再発するという問題点があり, 頻回のTUR-Btによって, 尿道狭窄などの合併症を起こす症例も少なくない. 比較的完全な軟性膀胱鏡とNd:YAGレーザーを使って, 表在性膀胱腫瘍の外来治療を行った. 対象は16例 (延べ21回) であり, 粘膜麻酔のみで行った. 15~19wで照射を行い, 3例は生検による出血などのため不完全な治療であったが, 他は完遂できた. 硬性鏡では比較的照射の難しい膀胱頚部の照射も容易であった. 合併症はなく, 照射部位の局所再発はなく, 他の部位の再発率はTURと比べて変化ないと思われた. レーザー治療は軟性鏡と組合せ, 症例を選べば, 安全に外来で治療可能である. 今後も治療法の確立のための研究が必要であると思われた.