日本泌尿器科学会雑誌
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慢性前立腺炎として治療されていた男子尿管異所開口の1例
関戸 哲利林 独志白岩 浩志服部 一紀菊池 孝治内田 克紀赤座 英之小磯 謙吉
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1993 年 84 巻 7 号 p. 1316-1319

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抄録

20歳男性. 主訴は射精後痛. 約2年前より射精後の肛門痛を自覚し, 次第に増強したため近医を受診. 前立腺炎の診断のもとに治療を受けたが痛みは改善せず, 落痛のコントロールが困難となったため1991年9月24日当院入院となった. 入院時, 直腸診にて前立腺の左方に嚢胞状の腫瘤を触知したが圧痛はなかった. IVP上左腎・尿管の描出がなし. CT上も左腎は認められず骨盤内に2つの嚢胞状腫瘤が認められた. 膀胱・尿道鏡所見では左尿管口および左三角部の形成を認めず. 膀胱頸部および尿道には異常所見は認められなかった. 左尿管の精嚢または射精管への異所開口の診断のもとに1991年10月3日左尿管精嚢摘出術を施行した. 病理所見上, 左腎は無形成. 尿管は射精管または, 精嚢下部に開口しており, 尿管上皮は円柱上皮にて覆われていた. 異所開口尿管が円柱上皮を示した症例は本邦3例目である.

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