日本泌尿器科学会雑誌
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精巣内 aromatase 活性に関する検討
ラット精巣内高E2モデルにおける造精機能障害について
秋山 博伸
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1997 年 88 巻 7 号 p. 649-657

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抄録

(背景と目的) 精巣内 estradiol (E2) 濃度と造精機能障害との関連性を検討する目的で, 基礎的実験を行った.
(対象と方法) 8週齢 Sprague-Dawley 系雄性ラットを, 生食投与群, E2投与群, hCG投与群, aromatase inhibitor (A. I.) 投与群, hCG+A. I. 投与群, 生食精巣内投与群, E2精巣内投与群の7群に分類し, 12週齢時に屠殺の上, それぞれ血中 testosterone (T), E2, 精巣内T, E2, 精巣内 aromatase 活性, 精細管直径を測定した.
(結果) hCG投与群において, 精巣内 aromatase 活性の上昇と精巣内T, E2濃度の増加, 精細管直径の縮小が認められた. hCG+A. I. 投与群においてはこれらの変化は認められなかった. また, E2投与群における精巣内E2濃度の増加, 精巣内 aromatase 活性の低下, 精細管直径の縮小を認めた.
(結論) 精巣内E2の増加が造精機能障害に強く関与していた. 従って, 精巣内 aromatase 活性の上昇とこれによる精巣内E2濃度の増加が, 男性不妊症の原因の一つである可能性があると考えられた.

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