日本泌尿器科学会雑誌
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SIEMENS Lithostar Multiline による上部尿路結石の治療成績および前機種 Lithostar との比較
木村 元彦笹川 亨
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キーワード: ESWL, 電磁誘導方式, 治療成績
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2007 年 98 巻 5 号 p. 677-684

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抄録

(目的) 電磁誘導方式でX線照準であるESWL新旧2機種による治療効果や透視時間, 疹痛の違いを評価し, 新機種の有用性を解析するとともに, ESWL機として望まれる要素を検討する.
(対象と方法) Siemens 社 Lithostar にて2,985結石 (L群: 腎691, 尿管2,294), Lithostar Multiline にて639結石 (M群: 腎153, 尿管486) の治療を行った. 3カ月後までに完全排石または残石4mm以下となったものを「有効」と定義し有効率を算出した.
(結果) 外来のみで行ったものはL: 2,547例 (85.3%), M: 608例 (95.1%) であった. 尿管結石の有効率はL: 92.2%, M: 82.7%, 腎尿管合計の有効率はL: 89.6%, M: 81.4%とL群で有効率が有意に高かった. 尿管結石では, LM両群において, U1に比べU3で有効率が高かった. 尿管結石の平均治療回数はL: 1.62回, M: 1.64回とL群で回数が少なかった. 腎結石の有効率はL: 81.0%, M: 77.1%と差がなかった. 透視時間はU2を除きすべての区分で短縮され, 腎尿管合計の平均ではL: 3.67分, M: 2.76分であった. 鎮痛剤が必要であったのはL: 50.8%, M: 34.7%でM群で減少した.
(結論) Multiline では有効率こそ前機種を上回らなかったが, 透視時間が短縮し鎮痛剤の頻度も減少した. Endourology の十分なバックアップを前提条件に, Multiline は外来治療として十分に簡便・安全であり一定の有用性が確認された.

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