2008 年 29 巻 2 号 p. 52-57
単眼二重視,三重視は若年性の白内障の初期に時々認められる。水晶体の混濁が軽度であるため,屈折率の不均一性に起因する高次収差の影響が見え方に反映されるためと思われる。単眼二重視はsecondary astigmatismと球面収差の相互作用,単眼三重視はtrefoil(矢状収差)と球面収差の相互作用で説明できる。波面センサーで測定した高次収差を用いてシミュレーションした網膜像が,実際の見え方と類似していて角膜の高次収差が正常であれば,白内障の手術適応と考えられる。