2011 年 32 巻 4 号 p. 90-94
ヘッドマウントディスプレイを用いた新しい両眼視機能検査装置であるDr. REX DR-100(Dr. REX)(オリンパス社製)の臨床的有用性について検討した。検討項目1として,Dr. REX,大型弱視鏡(Clement Clarke社製)にて自覚的斜視角を測定し,交代プリズム遮閉試験(APCT)での他覚的斜視角と比較検討した。また,検討項目2としてDr. REX,大型弱視鏡にて融像幅を測定し,比較検討した。その結果,APCTと比べてDr. REX,大型弱視鏡ともに有意に自覚的斜視角が輻湊側に移動した(p<0.05)。Dr. REXと大型弱視鏡との間に有意差は認められなかった(p>0.05)。また,融像幅はDr. REX,大型弱視鏡の間で正の相関を認めた(p<0.01)。Dr. REXは大型弱視鏡よりも融像幅が小さく出やすいが,両者の自覚的斜視角に有意差は認められず,融像幅にて正の相関が認められたことから,本装置はスクリーニング検査としての有用性が示唆された。