エキシマレーザー角膜屈折矯正手術後白内障眼に対する眼内レンズ(IOL)度数計算式の最近の報告について概説した。IOL度数計算誤差の原因としては,角膜曲率半径と換算屈折率の変化および種々の計算式での術後のIOLの位置の予測誤差が考えられる。最近は屈折矯正手術前のデータを必要としない方法が注目されているが,この問題に対する解決法はまだ見い出されていない。現状では,IOL度数計算誤差が出るリスクが通常よりも高いことについて,術前に十分に患者に説明することが最も重要である。
ヘッドマウントディスプレイを用いた新しい両眼視機能検査装置であるDr. REX DR-100(Dr. REX)(オリンパス社製)の臨床的有用性について検討した。検討項目1として,Dr. REX,大型弱視鏡(Clement Clarke社製)にて自覚的斜視角を測定し,交代プリズム遮閉試験(APCT)での他覚的斜視角と比較検討した。また,検討項目2としてDr. REX,大型弱視鏡にて融像幅を測定し,比較検討した。その結果,APCTと比べてDr. REX,大型弱視鏡ともに有意に自覚的斜視角が輻湊側に移動した(p<0.05)。Dr. REXと大型弱視鏡との間に有意差は認められなかった(p>0.05)。また,融像幅はDr. REX,大型弱視鏡の間で正の相関を認めた(p<0.01)。Dr. REXは大型弱視鏡よりも融像幅が小さく出やすいが,両者の自覚的斜視角に有意差は認められず,融像幅にて正の相関が認められたことから,本装置はスクリーニング検査としての有用性が示唆された。
色知覚の個人差を生み出す要因の一つとして,眼球に入射した光が網膜上の光受容体に到達する前に吸収される黄斑色素濃度の個人差の影響が考えられる。その影響を検証するためには,黄斑色素濃度が既知の被験者を用いて色知覚実験を行う必要がある。本研究では,交照法を用いて中心窩と周辺部でテスト光と参照光の交代呈示を行い,ちらつきが最小となる強度を求め,その結果の違いから黄斑色素濃度を推定した。44名の被験者に対して実験を行った結果,黄斑色素濃度の平均値は0.389,その標準偏差は0.129という結果を得た。本研究で得られた結果から,同一被験者に対する色覚特性を測定することにより,両者の相関性を明らかにすることができる。
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら