日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
原著
ABCD-Stoma®の信頼性と妥当性の検証:ストーマ周囲皮膚障害の重症度評価ツール
紺家 千津子溝上 祐子上出 良一徳永 恵子仲上 豪二朗真田 弘美
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2023 年 27 巻 1 号 p. 43-54

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抄録

 目的:われわれは、ストーマ周囲皮膚障害(PSD)の重症度を評価するスケールABCD-Stoma®を開発した。このスケールの臨床適応について評価をするため、スケールの信頼性と妥当性を検証した。
 方法:信頼性の検証では、スケールの評定者を日本創傷・オストミー・失禁管理学会のシンポジウム参加者とし、1画像の繰り返し提示を含むストーマ周囲皮膚10画像を提示した。その採点結果を基に、評定者間は級内相関係数(A、B、Cと合計点)とカッパ係数(D)を、評定者内は一致率を算出した。妥当性の検証では、58の研究協力施設におけるPSDを有する患者を対象に、予測妥当性についてROC解析を行った。
 結果:信頼性の解析対象となった評定者数は528名であった。評定者間一致率は、A 0.898、B 0.871、C 0.834、D 0.371、合計点0.802であった。評定者内一致率は、A、B、C、Dでは0.802-1.000、合計点0.856であった。妥当性は、382名のPSDを有する患者を対象とした。cutoff値に基づく合計点による治癒予測時のROC曲線下面積は、28日以内に治癒した場合には0.714、29日以上56日以内に治癒した場合には0.823であった。
 結論:ABCD-Stoma®の信頼性と妥当性を検証した結果、このスケールのスコアによりPSDを共通理解でき、治癒予測が可能であるといえた。

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