2026 年 11 巻 1 号 p. 1-13
ペプチドミクスとは,生体内で内因性プロテアーゼにより生成される10 kDa未満のポリペプチドを包括的に解析し,その発現プロファイルと生物学的意義を明らかにする分野である.タンパク質の内因性限定分解の過程を直接捉えられるので,生理活性ペプチドや主要組織適合遺伝子複合体(MHC)上に提示されるペプチドの探索,あるいは疾患マーカーの探索にペプチドミクスの技術を応用できる.本稿では特に生理活性ペプチドの探索に焦点を当てるとともに,ボトムアッププロテオミクスとの比較を踏まえた分析上の一般論,対象となる試料,およびペプチドミクスによって得られる知見について概説する.さらに,定量的ペプチドミクスや質量分析イメージングなどの新たな展開にも触れ,今後の課題についても議論する.