日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
性腺刺激抑制剤による産卵抑制の効果
石垣 良三海老沢 昭二二村 喜久雄山田 行雄
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1973 年 10 巻 1 号 p. 12-17

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抄録
当場ふ化のWL268羽を使用し, メタリビュアー100ppmを飼料中に20日間, 投与することによって, 50%産卵開始後3カ月目と7カ月目に一時的に休産させ, 再開後の産卵に現れる変化と, その変化によってもたらされる経済効果を検討するとともに, 換羽状況を調査するため, 2回の試験を行ない, 次の結果が得られた。
(1) メタリビュアー投与に対する反応は, 3カ月目投与区と7カ月目投与区の間では異なっていた。前者は後者よりメタリビュアーの摂取量が多いにもかかわらず, 主翼羽の脱落本数は少なく, 投与終了後の産卵回復は速かった。
(2) 3カ月目投与区の再開後の産卵は, 試験1, 2とも対照区と同程度に推移し, 全期間では3~4%劣る結果となった。
(3) 試験2の7カ月目投与区の再開後の産卵率は対照区より4カ月間10~20%上廻る成績を示し, この間の産卵率は有意にすぐれていたが, 全期間では, 対照区とほとんど差がなかった。
(4) 月別の卵価によって算出した鶏卵収入から摂取した飼料費を差し引いて求めた粗利益の比較では, 7カ月目投与区は大きな経済効果が得られた。
以上の結果から50%産卵開始後, 7カ月程度, 経過した鶏に, メタリビュアーを投与して一時的に休産させると, 再開後の産卵は, 休産させないものにくらべて, かなり高くなる。このことを, 卵価の変動に合せることによって経済効果を期待できる。
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