抄録
飼料要求率の育種学的改善を図るために, 1970年および1971年にふ化した単冠白色レグホーン種の2系統 (07, 04) 合せて599羽を供試材料にあて, 材料鶏が206~216日齢に達したとき試験を開始し, それ以降36週間 (252日間) の個体毎の飼料要求率を調べることによって飼料要求率の遺伝的パラメーターの推定を行なった。
また飼料要求率をもって選抜を行ない育種効果の検討を行なった。結果の概要は次のとおりである。
1) 飼料要求率のヘリタビリティー値は系統によって若干異なった値を示したが, 系統07では分散分析による推定値が0.28, 選抜反応から求めたものが0.34であった。また体重は0.64, 卵重は0.73, 飼料摂取量は0.69, 産卵数は0.37で飼料要求率のヘリタビリティー値はこれらの形質より低い値であった。
210日齢に達したのち, 12週間を1期とする部分記録のヘリタビリティー値は1期~2期のものが比較的高く, 3期のものは低かった。
2) 全期記録に対する部分記録の相関は, 系統07について見ると, 1期あるいは2期の成績によった場合が高く, 3期の成績による正確度はかなり落ちる傾向を示した。
3) 飼料要求率と他形質間の相関々係については, 系統07および04とも生産卵量, 産卵個数との相関が極めて高く, 体重, 卵重, 増体量との相関値は全般に低く, その符号も系統によって異なっていた。
4) 系統07について, 飼料要求率と産卵数 (X2, 個), 平均卵重 (X4, gr), 平均体重 (X5, 10gr), 増体量 (X6, 10gr) による重回帰分析を行ない, 飼料要求率を推定する重回帰式を求めた。その結果は次のとおりであった。
1970年: y=6.35-0.014X2-0.004X4+0.007X5
+0.003X6
1971年: y=5.10-0.011X2-0.0026X4+0.006X5
この式の正確度はいずれも約90%であった。また, 各形質の相対寄与率は産卵個数が最も高く, 次いで体重, 卵重の順で, 増体量のそれはかなり低くかった。
5) 飼料要求率を改善するための選抜によって1世代で0.07の向上を見た。また相関反応から来る他形質の動きは産卵数および生産卵量の増加が最も大きく, 次いで卵重および体重の減少する傾向がみられた。
6) 産卵数 (X2, 個), 卵重 (X4, gr), 体重 (X5, 10gr) からなる飼料要求率に対する指数選抜と飼料要求率そのもので直接選抜した場合の改良効果を比較した結果, 飼料要求率の改良量は指数選抜の場合直接選抜に比べ72~82%の効率であったが実用面からは利用性が高いと推論された。