日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
産卵鶏の生理的性状におよぼす送風の影響
森田 実
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1975 年 12 巻 5 号 p. 230-233

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抄録
白色レグホーン種の産卵鶏60羽を用いて, 高温下での送風処理の効果および適温下における影響を血糖値, 体温, 呼吸数ならびに産卵形質についてしらべた。
供試鶏は単飼ケージに入れ, 高温下の実験では32°C下で10日間, 適温下の実験では20°C下で10日間扇風機を用いて1~1.5mの距離より送風した。この場合の風速は扇風機の直前で1m/秒, 送風時間は1日12時間で5回転/分往復の回転によって断続的に送風した。
1. 高温下では血糖値が上昇し, その影響は少なくとも4日目まで続き, 6日目には回復したが, 送風処理によって4時間以内に正常値に戻すことができた。一方, 適温下では温度および送風処理の影響は全くみられなかった。
2. 高温下では体温に一時的に上昇変化がみられたが, 4日目には回復し, 特に送風処理区では処理開始後7時間以内に回復した。
3. 呼吸数は体温と同様な傾向の変化を示した。
4. 高温下での送風処理は産卵率, 卵重, 卵殼厚の減少を防止するうえに有効であった。一方, 20°C下では送風処理の影響はみられなかった。
以上から, 高温環境下で1m/秒の送風を行うことは, 血糖の正常値の維持や, 産卵の低下防止に効果のあることがわかった。
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