抄録
成熟ウズラの精子細胞を, 電子顕微鏡を用いて観察した。先体は, ゴルジ体に由来する先体胞の発達, 変形によって形成される。先体胞と核との密着部位に, 先体桿になると思われる物質が観察された。形成された先体桿は哺乳類精子の perforatorium に相当するものと考えられた。精子細胞の成熟にともない。核は球状からしだいに円筒形に変形し, 同時に核物質の凝集がおこり, ついに電子密度の高い均質無構造の精子頭部に発達した。核の変形にともない, はじめ核を取りまいて circular manchette を示した微細小管は longitudinal manchette を呈し, 精子変態の末期には消失した。精子の尾部軸糸は distal centriole の伸長によって形成され, 尾部軸糸は9+2構造を示した。