日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
メチオニン過剰飼料によるヒナの血漿メチオニン濃度の増加と飼料摂取量の減少に及ぼすグリシンまたはスレオニンの影響
上田 博史横田 浩臣田先 威和夫
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1979 年 16 巻 2 号 p. 76-79

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抄録
メチオニン過剰による成長阻害は飼料摂取量の減少を伴うが, 食欲の調節機構は不明である。グリシンとスレオニンは特異的にメチオニン過剰による成長阻害を緩和する効果をもつ。またメチオニン過剰により増加した血中メチオニン濃度はグリシン添加によって低下することが知られており, この血中メチオニン濃度の低下が飼料摂取量を増加させることが示唆されている。しかしスレオニンの影響については知られていない。本実験ではメチオニン過剰により血中に蓄積したメチオニンおよび減少した飼料摂取量に及ぼすグリシンまたはスレオニンの影響を調べた。
メチオニン過剰飼料は, 抽出大豆蛋白質に適量のL-メチオニンとグリシンを補足した粗蛋白質含量10%の対照飼料に, 1.5%のL-メチオニンを添加して調製した。さらに等モルのグリシン (0.75%) またはL-スレオニン (1.19%) をメチオニン過剰飼料に添加した。8日齢の白レグ雄ビナをこれらの飼料で5日間飼育した後, 心臓穿刺により血液を採取し, 血漿のメチオニン, グリシンおよびスレオニン濃度を測定した。
メチオニン過剰飼料の摂取によりヒナの増体重, 飼料摂取量および飼料効率は著しく減少し, 血漿メチオニン濃度は対照の51倍に増加した。メチオニン過剰飼料にグリシンまたはスレオニンを添加することによって, 血中で増加したメチオニン濃度は約1/2に減少したが, 飼料摂取量は増加しなかった。しかし飼料効率はこれらのアミノ酸の添加で有意に改善された。
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