1981 年 18 巻 1 号 p. 51-59
194羽の雄ひな (ワーレン) を6週齢時にランダムに対照区と直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ(LAS)給与区に割り当てた。すべてのニワトリに飼料と水は自由摂取させたが, LAS給与区のニワトリは10~100ppmの濃度にLASを溶解した水溶液を飲水として与えられた。LAS 100ppm区は16週齢時からLAS 1500ppmとしLAS濃度を高めた。体重, 飼料消費量は週ごとに飲水量は毎日測定した。各区16羽のニワトリを10, 15, 21, 28週齢時にと殺し, 肝臓などの臓器を採取し, 重量を測定した。また, この時の肝臓や血清の酵素活性が測定された。26週齢時に各区のニワトリから精液を採取し, 精子数を計測した。LASの10~100ppm添加では体重, 飼料摂取量, 飲水量, 臓器重量, 精子数などに対する影響はみられなかったが血清のトランスアミナーゼ(GOT) 活性, 総コレステロール量は増加し, 血清の中性脂肪は減少を示した。LAS濃度を1500ppmに高めると飲水量, 体重, 精巣重, 鶏冠重, 精子濃度は統計的に有意に減少した。また, 血清のトランスアミナーゼ(GOT), アルカリホスファターゼ, 乳酸デヒドロゲナーゼおよび肝臓ミトコンドリア分画のトランスアミナーゼ (GPT) 活性の有意な低下, 血清の中性脂肪濃度の有意な上昇がみられた。以上の結果からLASを雄鶏に体重1kgあたり約80mg毎日与えると成長の抑制がみられ, 性成熟が遅延し障害を受けるものと推察された。