抄録
視床下部破壊により過食を呈した鶏における飼料摂取パターン, 血糖値, および血中脂質であるFFA, PL, TG値の変動を調べた。
(1) 過食鶏の飼料摂取は, 対照鶏でも摂取量が最も多いところの給餌後1~3時間と, 対照鶏では摂取量が少い早朝および夕方において増加していた。
(2) 過食鶏の血糖値は, 給餌後に上昇したが, 各時間での値は対照鶏との間に統計的に差はなかった。従って, 血糖の恒常性が厳しく維持されており, 糖利用が促進しているものと推測された。
(3) FFA値は給餌後に低下した。過食鶏のFFA値は対照鶏に比べて幾分低い傾向がみられたが, 脂肪動員の変化については不明である。
(4) 対照鶏のPL値は変動がみられなかった。しかし, 過食鶏では給餌後に明らかに上昇した。従って, 多量の飼料摂取によって脂肪の移動•蓄積が盛んになったものと思われる。
(5) TG値は, 過食鶏においては, 給餌前でも著しく高く, 給餌後にはさらに高くなった。また, TG値とその日の飼料摂取量との間には高い相関(r=0.67, n=22) が認められた。従って, TG値は飼料摂取量を鋭敏に反映するものと思われた。
(6) 絶食時における過食鶏の血中脂質量をみると, FFA値およびTG値は低下したが, PL値は高い値を示した。
(7) 以上の結果から, 過食鶏においては糖利用, 脂肪合成が促進されていることが明らかであり, またインシュリン分泌は亢進していることが推測された。なお, 過食鶏において飼料摂取を促進している要因は不明であった。