日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
ひまし粕の飼料化に関する研究
III 除毒法および養鶏飼料としての実用性の再検討
岡本 正幹古賀 脩五斗 一郎荒牧 孝典船津 勝高橋 孝雄山口 潮三草川 勉村瀬 克彦
著者情報
ジャーナル フリー

1965 年 2 巻 1 号 p. 1-10

詳細
抄録
著者らはさきに, ひまし粕に存在する猛毒がオートクレーブによる加圧熱処理によってほとんど消失し, 5%以下の混合においては, 養鶏飼料として実用化の見込があると報告した。
ところがその後この加圧熱処理粕を40%程度の高率で混合した飼料を給与すると, なお毒性が出現することを知ったので, この処理粕の毒性を完全に除去する方法について検討を重ね, その効果に実際的な適用性もあわせて考慮に入れ, 1) 水洗浄, 2) エタノール抽出, 3) 希塩酸洗浄の3つにしぼって追究した。
これらの後処理を加えた製品を, 40%の高率まで混合した飼料を, 2週齢から7週齢までの6週間にわたって雄雛に給与した結果から, どの方法にも除毒効果があることがわかったが, そのうち水洗浄法がもっともすぐれていることが認められた。
これらの方法による製品を5%および10%の率で混合した飼料を給与すると, 若雌鶏の産卵成績には全く悪影響はなかったが, ブロイラーの成長はやや遅延する傾向があるように思われた。
これらによる製品の蛋白質のアミノ酸組成はすぐれているけれども, 水洗浄およびエタノール抽出によるものについて, ブロイラー用若雄鶏に対する消化試験を行なったところ, その消化率は比較的低いことが認められた。
これらの事実について考察した結果, さきに認められた雄雛における多少の成長の遅延は, 毒性の影響よりもむしろ可消化養分の組成によるものであろうと結論した。
著者関連情報
© 日本家禽学会
次の記事
feedback
Top