日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
鶏の卵管運動に及ぼす放卵誘起物質の影響
岡本 新田中 耕作古賀 脩
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1983 年 20 巻 2 号 p. 87-94

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抄録
鶏の卵輸送及び放卵機構を明らかにするための一助としてバゾトシン(VT),プロスタグランディンE1, E2, F2α (PGs)及び破裂卵胞に存在する放卵誘起物質(OVarian Oviposition-Inducing Factor, OOIF)が,卵管各部位の縦走筋及び輪走筋に対して及ぼす影響についてin vitroで検討した。
供試鶏には排卵5時間後と放卵直後のものを用いた。排卵5時間後の卵管においてPGsは子宮部に対して収縮作用を示し,他の5部位にはすべて弛緩作用を示した。これに対してVTは峡部と子宮部に,OOIFは漏斗部と子宮部に収縮作用を示しただけで他の部位に対しては何らの作用も示さなかった。つぎに放卵直後では,PGF2αが漏斗部,膨大部,峡部及び腟部に対し収縮,弛緩のいずれの作用も示さず,またOOIFが峡部に収縮作用を示した以外は,PGs, VT及びOOIFともに排卵5時間後の卵管とほとんど同様の傾向を示すことが観察された。
これらの結果から,卵管の卵輸送に関して放卵誘起物質はいずれも直接的な関与はないものと考えられた。一方,放卵に関してはPGs, VT及びOOIFともに子宮部に対して強い収縮作用を示し,さらにVT及びOOIFは峡部の収縮作用,PGsは子宮腟移行部の弛緩作用が認められたので,これらの物質は放卵過程の円滑な進行に有効に作用しているものと考えられた。
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