抄録
夏季のブロイラーの熱射病の発生防止を目的として,経済的負担の小さいといわれている地中-空気熱交換装置を備えたトンネル型開放鶏舎でブロイラーを6週齢から9週齢まで飼育した。
地下1mに埋設した内径12.5cm,長さ20mの塩化ビニールパイプ6本を通して外気の熱を土壌と交換して冷気を得た。外気入気区の鶏舎内温度が28°C以上となると,冷気または無処理の外気を床面の上40cmに設置したビニールフィルム製ダクト(径55cm)の一方の端から冷気(冷気入気区)または外気(外気入気区)を入気した。ダクトの他の端は閉じ,ダクトに1m間隔に設けた径10cmの吹出口から,入気を床面に対して45度の方向から吹出させた。
1) 入気温度は冷気が24.8~27.0°C,外気が28.9~33.7°Cの範囲にあり,冷気の温度が低かった。しかし床上1.5mの位置で測定した舎内温度には両区間の差は殆どなかった。
2) ブロイラーの9週齢体重,6~9週齢間の増体量,飼料消費量,飼料要求率については,両区間に差は認められなかった。熱射病による死亡鶏の発生率は,雄では冷気入気区が11.0%,外気入気区で18.0%で,冷気入気区が有意(P<0.05)に少なかったが,雌ではそれぞれ3.5%,4.0%で両区間に差はなかった。