低温溶剤抽出大豆粕(中国産)の加熱処理による栄養価の改善をはかるため,大豆粕を85°Cあるいは100°Cでそれぞれ30,60,90分加熱処理を施し,大豆粕の水溶性窒素,真の代謝エネルギー(TME,TMEn)および真のアミノ酸有効率(TAAA)を測定し,大豆粕の加熱処理の効果を検討した。その結果,大豆粕の水溶性窒素は85°Cの加熱処理では明らかな減少は認められなかったが,100°C処理では,加熱時間の延長につれて顕著に減少した。大豆粕のTME, TMEnおよびエネルギー代謝率(TMEn/GE)は85°C30分あるいは100°C30分処理で,有意ではないが改善の傾向が認められた。大豆粕のTAAAでは,85°C30分処理では平均TAAAは92.5%で無処理の89.4%に比べ,3.1%高くなった。特にヒスチジン,フェニルアラニン,トレオニンでは有意な改善が認められた。100°C90分処理では,平均TAAAは89.0%と85°C30分処理に比べむしろ低下した。個々のアミノ酸では,リジン,トレオニン,ヒスチジンなど多くのアミノ酸で有意に低下し,無処理区に比べても低い傾向を示した。これらの結果から低温溶剤抽出大豆粕の栄養価の改善には85~100°C30分程度の加熱処理が適当であった。