日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
SPF鶏飼育室の消毒とその後の鶏の飼育に伴う室内付着菌数の変動
東 善行伊藤 宏
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1991 年 28 巻 1 号 p. 52-56

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抄録

高い消毒効果を必要とするSPF鶏の平飼いおよびケージ飼育室の消毒について検討した。次いで,消毒後の飼育室にSPF鶏を収容し,飼育による室内の菌数の変動および飼育をしながら実施した飼育室床面の水洗と消毒液散布の効果について検討した。
1) SPF鶏を淘汰し,水洗した平飼いおよびケージ飼育室1cm2当たりのそれぞれの付着菌数は床面で103.6と102.9,壁面で102.6と102.2,天井で101.4と101.3であり,平飼い飼育室に比べてケージ飼育室の菌数が少なかった。水洗後に逆性石鹸とヨードホールを順に散布したところ,菌数はそれぞれ101.6と101.5, 101.2と100.8,および100.8と100.5に減少した。さらにホルムアルデヒド燻蒸の実施で菌は検出されなくなった。
2) 消毒した飼育室に鶏を収容5週後には,床面1cm2当たりの菌数は飼育室水洗後の菌数とほぼ等しい103.2(平飼い飼育室)と103.3(ケージ飼育室)となったが,壁面と天井における菌数の増加は床面と比べ少なかった。また,平飼い飼育室とケージ飼育室の菌数には差がなかった。
3) 鶏を飼育しているケージ飼育室で,毎週床面を水洗し消毒液を散布すると,床面の菌数の経時的な増加が抑制されることが示唆された。

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