日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
培養骨髄骨における破骨細胞のカルシトニンによる骨吸収抑制
杉山 稔恵大橋 知男楠原 征治
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1993 年 30 巻 1 号 p. 16-23

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抄録

本研究では,卵が卵殻腺部に存在し,骨吸収が行われている時期の産卵鶏骨髄骨をカルシトニン添加培地で培養し,破骨細胞の酵素活性と微細構造を観察した。カルシトニン無添加の培養骨髄骨では,破骨細胞は,培養前と同様に強い酸性ホスファターゼ(ACP)およびコハク酸脱水素酵素(SDH)活性を示し,中等度の乳酸脱水素酵素(LDH)活性を示した。また,これらの破骨細胞は発達した波状縁を有していた。一方,カルシトニンを添加した培養骨髄骨では,培養後1時間で破骨細胞の波状縁が消失し,培養後12時間で破骨細胞のACP, SDHおよびLDH活性が低下して,破骨細胞の骨基質近くに明帯が発達した。以上の結果から,カルシトニンは,卵が卵殻腺部に存在する時期における破骨細胞の骨からのカルシウム吸収を抑制することが示唆された。

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