日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
30 巻, 1 号
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  • 戸塚 耕二, 岡崎 幸則, 山本 朱美, 小出 和之, 渡辺 恵美子, 豊水 正昭, 石橋 晃
    1993 年 30 巻 1 号 p. 1-15
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    産卵鶏における必須アミノ酸の要求量を決定するに先立って,若雌鶏の産卵開始から最高産卵に達するまでの最適な粗タンパク質(CP)と代謝エネルギー(ME)の水準を明らかにするために,メチオニン,リジンおよびトリプトファンがNRC要求量の85%, 95%, 105%, 115%,そしてME水準が2,700, 2,850, 3,000kcal/kgの合計12種類の飼料を,1飼料当り60羽の鶏にそれぞれ給与して産卵試験を行った。試験は開放鶏舎で試験期間中の平均気温は15°Cから25°Cの間であった。その結果,飼料消費量はME水準が高くなるほど少なく摂取する傾向にあったが,CP水準による差は認められなかった。各産卵ステージの1日1羽当りME摂取量は,飼料のME水準が高いほど多く摂取する傾向にあった。各産卵ステージの1日1羽あたりCP摂取量は,CP水準が高いほど多かった。産卵率は,CP水準が高くなるほど優れる傾向にあった。ME水準による影響は192日齢までは認められなかったが,それ以降はME水準が高くなると低下する傾向にあった。産卵日量は,CP水準が高くなるほど優れる傾向にあった。しかしME水準との間に一定の傾向は認あられなかった。平均卵重は,CP水準が高くなるほど重くなった。しかしME水準との間に一定の傾向は認められなかった。飼料効率は,CPとME水準が高いほど優れる傾向にあった。本実験条件下における鶏卵生産には,ME2,700-2,850kcal/kgが経済的によいと考えられた。産卵率が約90%の最高産卵時には,1日1羽当たり310-330kcalのMEを摂取した。CPの要求量は14.5%か,それ以上であった。最高の産卵と卵重に達するためには,1日1羽当たり蛋白質を18g摂取した。
  • 杉山 稔恵, 大橋 知男, 楠原 征治
    1993 年 30 巻 1 号 p. 16-23
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究では,卵が卵殻腺部に存在し,骨吸収が行われている時期の産卵鶏骨髄骨をカルシトニン添加培地で培養し,破骨細胞の酵素活性と微細構造を観察した。カルシトニン無添加の培養骨髄骨では,破骨細胞は,培養前と同様に強い酸性ホスファターゼ(ACP)およびコハク酸脱水素酵素(SDH)活性を示し,中等度の乳酸脱水素酵素(LDH)活性を示した。また,これらの破骨細胞は発達した波状縁を有していた。一方,カルシトニンを添加した培養骨髄骨では,培養後1時間で破骨細胞の波状縁が消失し,培養後12時間で破骨細胞のACP, SDHおよびLDH活性が低下して,破骨細胞の骨基質近くに明帯が発達した。以上の結果から,カルシトニンは,卵が卵殻腺部に存在する時期における破骨細胞の骨からのカルシウム吸収を抑制することが示唆された。
  • 田中 智夫, 細矢 博之, 渡邉 民子, 谷田 創, 吉本 正
    1993 年 30 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    給餌器および給水器上の開口部の構造が異なる3種のケージを試作し,それぞれにおける産卵鶏の行動と生産性を比較した。36羽の白色レグホーン系産卵鶏を供試鶏とし,12羽ずつ3群に分けた。前後面が縦横の網目構造になっている市販の2羽用産卵鶏ケージ(C)と,給餌器および給水器の上部を縦柵だけにした区(V)および横柵だけにした区(H)を設け,ラテン方格法に従って3期間(1期2週間)実験を行った。採食と飲水,羽つくろい,移動,休息等,各行動形の1日に占める割合および日周パターンには,ケージタイプによる差は見られなかった。生産性にも区間に差は認められなかった。しかし,各ケージ内の2羽が同時に採食した回数は,H区において有意に増加した。また,C, V両区において,葛藤時に見られるペーシングから採食,および攻撃→移動→採食の有意な行動連鎖が見られたのに対して,H区ではそのような連鎖が見られず,採食時におけるケージメイト同士の競合が少ないことが示唆された.
  • 小出 和之, 太田 能之, 伊藤 道秋, 渡辺 恵美子, 豊水 正昭, 石橋 晃
    1993 年 30 巻 1 号 p. 31-39
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    加齢に伴うブロイラーの含硫アミノ酸要求量を,増体量と飼料要求率を指標として調べた。
    実験1では,CP 20.7%,ME 3371kcal/kgの飼料にメチオニンを添加し,含硫アミノ酸(SAA)が等間隔に6段階になる飼料を調製した。その飼料を,4日齢及び24日齢のヒナにそれぞれ20日間給与し,10日目及び20日目に体重と飼料摂取量を記録した。
    実験2では,CP 18.6%, ME 3175kca1/kgの飼料にメチオニンを添加し,SAA含量が等間隔に6段階になる飼料を調製した。その飼料を,4日齢及び21日齢のヒナにそれぞれ10日間給与し,10日目に体重と飼料摂取量を記録した。
    実験1の結果,体重はメチオニン添加量の増加に伴って増加し,最大値に達した後減少する傾向を示した。増体量は,4から14日齢では飼料中SAA含量が1.14%の時,最大となった。同様に14から24日齢では1.11%,4から24日齢では1.12%,24から34日齢では1.03%,34から44日齢では0.99%,24から44日齢では1.00%で最大となった。飼料要求率ではメチニオン添加量の増加に伴って減少し,ある時点で最低となった。飼料要求率は,4から14日齢では飼料中SAA含量が1.18%の時,最低となった。同様に14から24日齢では1.08%,4から24日齢では1.10%,24から34日齢では1.05%,34から44日齢では1.02%,24から44日齢では1.03%で最低となった。
    実験2においても,メチオニン添加量の増加に伴って増体量及び飼料要求率は実験1と同様の傾向を示した。4から14日齢及び21から31日齢では,最大の増体を示す飼料中SAA含量はそれぞれ0.97及び0.89%であり,最低の飼料要求率を示す値はそれぞれ0.97及び0.93%であった。
    以上の実験の結果,増体量及び飼料要求率から求めた平均SAA要求量は,日齢の増加に伴って減少した。
  • 脇田 正彰, 西口 靖彦, 川上 千春, 角 浩文, 森下 大介, 小林 泰男, 星野 貞夫
    1993 年 30 巻 1 号 p. 40-48
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    新鮮なブロイラー下垂体からアルカリ抽出,硫酸アンモニュウム沈でん,ゲルろ過,イオン交換クロマト,クロマトフォカシングによりニワトリ成長ホルモン(cGH)を精製した。収量は下垂体1kg当たり698mgであった。精製したcGHはポリアクリルアミド電気泳動(PAGE)で単一バンドとなり,分子量はSDS-PAGEで約22,000と推定された。また,このcGHの等電点は7.8であった。精製したcGHを下垂体摘出鶏に注射すると,対照の食塩水注射鶏群に比べ脛骨成長軟骨巾の増加および血中赤血球数の増加がみられ,このcGHが生物活性を持つことが示された。
  • 小川 博, 桑山 岳人, 一戸 健司
    1993 年 30 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ホロホロチョウの雄を18L:6D(18時間照明:6時間暗黒),12L:12Dおよび6L:18D,雌を18L:6D,14L:10D,12L:12Dおよび6L:18Dの照明条件下で飼育し,雄における精巣の発育および雌における産卵開始に及ぼす影響について検討した。その結果,1)12:L:12Dおよび6L:18Dの照明条件下における精巣重量は,18L:6Dの長日照明条件下よりも30週齢時に大きいことが明らかとなった。2)初産日齢は,18L:6Dおよび14L:10Dのいずれの照明条件下でも126日齢であった。これに対し,12L:12Dおよび6L:18D下においては,それぞれ283日齢および255日齢であり,いずれも18L:6Dおよび14L:10Dの長日条件下におけるよりもはるかに遅く,その遅れの日数はそれぞれ157日および129日であった。しかしながら,初産卵の重量および卵黄重量については,12L:12Dおよび6L:18D下の方が18L:6Dおよび14L:10D下におけるよりも大きかった。以上のように,6L:18Dおよび12L:12Dの照明条件下の雄の精巣が長日条件下におけるよりも大きくなること,雌の産卵開始日齢が,著しく遅れることは,ホロホロチョウにおける一つの特性のように思われる。
  • 喜多 一美, 松波 紫草, 葛谷 好弘, 奥村 純市
    1993 年 30 巻 1 号 p. 55-61
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニワトリヒナの肝臓における蛋白質,DNA, RNA及びmRNA含量に及ぼす絶食及び再給餌の影響について調査した。総mRNAはポリ(U)セファロース4Bアフィニティークロマトグラフィー法を用いて総RNAから抽出した。mRNA含量はポリアデニル酸をスタンダードとして吸光度260nmで測定した。肝臓中の総蛋白質,総DNA及び総RNA量は絶食により減少し,再給餌により対照区より依然低いものの増加する結果を得た。単位肝臓重量当りのmRNA量は絶食及び再給餌によって変化しなかった。3日間の絶食は総mRNA量を減少させたが,続く3日間の再給餌により対照区のレベルまで回復した。絶食及び再給餌はRNA:蛋白質比に有意な影響を及ぼさなかった。これらの結果から,肝臓において絶食及び再給餌は,蛋白質合成の場であるRNAの蛋白質に対する相対的濃度に変化を引き起こさないものと考えられた。3日問の絶食はmRNA:DNA比に影響を及ぼさなかったが,再給餌したヒナの肝臓におけるmRNA:DNA比は対照区より大きくなった。この再給餌群におけるmRNA:DNA比の見かけ上の増加は,主にDNA含量の減少によるものであった。これらの結果から絶食後の再給餌は,肝臓におけるmRNAの転写速度の促進またはmRNAの安定性を増加させる可能性が示唆された。
  • 古田 賢治, 下之門 英章, 藤原 秀憲, 新里 玄徳
    1993 年 30 巻 1 号 p. 62-65
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    踏込み消毒槽の使用による作業靴の付着菌数を調べ,次に洗浄及び消毒液浸漬による菌数の減少について検討した。
    ブロイラー鶏舎の出入口に踏込み消毒槽を設置し,月曜日から日曜日まで鶏舎出入りに際し使用した。1週間使用した作業靴の1cm2当りの付着菌数は靴底で104.7,踵で104.8,爪先で104.6であった。踏込み消毒槽を使用しなかった靴(対照)から検出された菌数はそれぞれ104.8,105.0及び104.0で,踏込み消毒槽を使用しても付着菌数の減少は認められなかった。
    次に,1日の作業を終了した午後5時から翌朝8時まで15時間,靴を消毒液に浸漬保管した。また,作業終了時に靴を履いた状態で消毒液中で洗浄した。消毒液に浸漬保管しても菌数の減少は認められず,洗浄すると爪先の菌数は減少したが,103.3/cm2の菌が検出された。また,1日使用した靴を15時間新しい消毒液に浸漬しても減少はみられなかった。
    以上のことから,経験的な知見である踏込み消毒槽による消毒,疾病伝播の防止について再検討する必要が示唆された。
  • 万年 英之, 辻 荘一, 岡本 悟, 前田 芳實, 山下 秀次, 向井 文雄, 後藤 信男
    1993 年 30 巻 1 号 p. 66-71
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    佐賀大学農学部で維持されている日本ウズラは体重大小の2方向へ30年間にわたり選抜され,現在までに約60世代経過している。体重の大きい選抜系統(LL系)は小さい系統(SS系)に比して,10週齢体重で約3.3倍の差が存在する。体重のほかにも幾つかの形質に差が認められ,筋肉の代謝同転率,筋肉中のプロテアーゼ活性,酸素消費量,体温などでSS系の高いことが示されている。この様に長期にわたって選抜•維持されてきているので,各系統とも近交は相当進んでいると推定される。しかしながら,多型蛋白質の遺伝子頻度からの推定ではヘテロ接合体の遺伝子頻度は高い値を保ったままで,近交の程度を反映しているとはいえない。そこで,本研究ではDNA多型の分析法の一つであるDNAフィンガープリント法(DFP)を利用して両集団を分析し,その遺伝的構造について検討した。また,本法のウズラ集団での分析の有用性について明らかにした。ランダム集団(RR系)を含む3系統の各6羽のウズラから採血し,DNAサンプルを得,制限酵素HaeIIIで切断し,DNA型を比較した。DFPのプローブにはM13反復配列を用いた。1)各個体のDFP像はそれぞれ異なっており,同一選抜系統内でも個体の識別が可能であった。2)調査した18個体すべてに共通するバンドは認められなかった。3)バンドのパターンは系統毎に共通したものがあって,系統間の識別は一目瞭然であった。また,バンドの有無によりデンドログラムを描くと,デンドログラムのクラスターと各系統が良く一致した。4)2個体間の共通のバンドの占める割合(BS値)は系統内ではLL系が0.62,SS系が0.79,RR系が0.57で,系統間ではLLとSS間が0.37,LLとRR系間が0.23,SSとRR系間が0.35であった。系統間のBS値と比較すると系統内のBS値は高く,遺伝子の固定は未だ行われていないが,近交がある程度進んでいることを示していた。5)BS値より求めた近交係数はLL系が0.44,SS系が0.69,RR系が0.37で,実際の値に近いものと考えられた。
  • 茶薗 明
    1993 年 30 巻 1 号 p. 72-83
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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