日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
卵黄色測定における携帯型色彩色差計の応用
福間 義教鈴木 敏明石橋 晃
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1993 年 30 巻 2 号 p. 134-141

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抄録
卵黄色を客観的で簡便に評価できる実用的な方法を開発することを目的として,まずロッシュ•カラーファン(RCF)について,光源の種類および測定個人による差の有無を検討した。次に色彩色差計ミノルタCR-200で測定した値とRCF値との比較をし,RCF値の客観的推定法について検討した。
標準的な成鶏用飼料を基礎飼料として,RCF値が8~12となるように,パプリカ抽出物を0~1,800mg/kgの5段階に添加した飼料を各区30羽の計150羽の98週齢成鶏に給与し,飼料切り換え14と16日後の卵を供試した。RCF値への光源(自然光および蛍光灯下)および測定者(男性5名,女性1の6名)の影響を要因解析法で検討した。自然光下で測定するとRCF平均値は有意に高くなった。また測定者によって,RCF平均値および標準偏差は有意に異なった。
RCF(1987年版)そのものを対象として,CR-200を用いてL*(明度),a*(赤色),b*(黄色)およびYellow Index(黄色度,YI)を測定した。得られた値は直接卵黄を測定した色彩色差計値より高く,これらの値から卵黄のRCF測定値を推定することは不適当であることが判明した。
一方,卵黄を測定した色彩色差計値と人による値とを比較すると,自然光下での個々の卵黄に対する測定者6人のRCF平均値(ARCF)とL*,a*,b*およびYIとの一次回帰の相関は,すべて1%の危険率で有意であり,a*との相関が最も高かった。またL*,a*,b*との重回帰の相関も1%の危険率で有意であったが,回帰式よりの推定値は一次回帰と重回帰では差がなかった。これらの結果から,RCF値は,ARCF=0.534a*+9.061(r=0.914)の一次回帰式で測定者および光源の影響を受けずに客観的に推定できると結論された。
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