1993 年 30 巻 5 号 p. 371-376
24時間あるいは48時間の絶食がヒナの好異球のニトロブルーテトラゾリウム(NBT)還元能とペルオキシダーゼ量に及ぼす影響を追究した。腹腔浸出好異球では,NBTの還元能は絶食時間に比例して低下したが,末梢血好異球では,絶食によるNBT還元能の低下は観察されなかった。一方,ミエロペルオキシダーゼ量は腹腔浸出好異球,末梢血好異球ともに絶食の影響は顕著ではなかった。NBT還元能,ペルオキシダーゼ量の両方において,腹腔浸出好異球と末梢血好異球の間には値に大きな差が見られ,ニワトリの好異球におけるサブポピュレーションの存在が示唆された。以上の結果から,絶食によるヒナの殺菌能力の低下は腹腔の好異球のスーパーオキサイド生成に対する絶食ストレスの特異的作用である可能性が示唆された。