日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
ブロイラーの肝臓ミクロソーム薬物代謝酵素活性と脂肪蓄積に対する抗甲状腺物質投与と飼料中脂肪含量の影響
小林 茂樹秋葉 征夫高橋 和昭堀口 雅昭
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1994 年 31 巻 1 号 p. 20-27

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抄録
抗甲状腺物質(プロピルチオウラシル,PTU)投与と飼料中脂肪含量が,ブロイラーの成長,肝臓ミクロソーム薬物代謝酵素活性および脂肪蓄積に対する影響を検討した。高炭水化物(HC)飼料と高脂肪(HF)飼料の両飼料それぞれにPTUを0,0.0075および0.0150%添加した計6試験飼料を14日齢の雄ブロイラーに10日間給与した。飼料摂取量および増体重に対する飼料組成あるいはPTU0.0075%添加の影響は見られなかったが,HC飼料にPTUを0.0150%添加するとこれらは減少した。甲状腺重量,肝臓脂質量および腹腔内脂肪量は飼料組成に関係なくPTU投与により増加し,血漿中サイロキシン濃度は減少した。HF飼料にPTUを添加した時の肝臓脂質量はHC飼料に添加した時よりも低かった。チトクロームP-450およびb5含量はPTU添加の有無に関わらずHF飼料給与区の方がHC飼料給与区より高かった。HF飼料給与時のチトクロームP-450含量はPTUの添加により増加した。
以上の結果から,PTU給与によるブロイラーの成長停滞と脂肪の過剰蓄積は高脂肪飼料の給与により改善され,この改善効果には肝臓ミクロソーム薬物代謝酵素活性が幾分関与していることが示唆された。
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