抄録
17β-エストラジオールがニワトリ胚子の骨組織形成に及ぼす影響を究明するため,孵卵開始10日目より隔日に卵殻内の気室にホルモン投与を行い,20日目に採取した脛骨の骨幹中央部における組織変化について形態計測学的に検索した。その結果,骨組織の横断面積はホルモンの投与によって増加し,骨の太さの成長促進が認あられた。また骨質が骨組織に対して占める割合についての計測値は骨組織の横断面積の場合とほぼ同様の増加を示したが,そのような脛骨では,骨小柱の幅が拡大して骨質の充実が観察された。さらに骨膜の骨芽細胞の数と面積はホルモンの投与量とともに明らかに増加したが,特に細胞数において増加の割合が大きかった。しかし,破骨細胞の核数と面積についてみた場合,それらの計測値にはほとんど変化が認あられず,骨吸収に対するホルモン投与の影響はきわめて少ないことが察知された。これらの結果からみると,17β-エストラジオールはニワトリ胚子の骨組織に作用して,骨芽細胞を増数肥大させ,骨形成を促進するものと考えられる。