日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
コマーシャル•ウズラ集団間の遺伝的分化
佐野 晶子後藤 直樹木村 正雄
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1994 年 31 巻 4 号 p. 276-286

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抄録

コマーシャル•ウズラ集団間の遺伝的分化の程度の評価およびコマーシャルと研究用集団との間のそれらの比較のために,合計34座位により支配を受ける25の酵素と蛋白質を分析した。今回の調査は,日本のコマーシャル•ウズラ6集団とフランスのコマーシャル1集団を分析した。さらにこれまでに報告されているカナダのコマーシャル1集団と研究用4集団(木村ら,1990: CHENGら,1992),日本のコマーシャル1集団(木村ら,1990)そして野生ウズラ3集団(木村•藤井,1989)のデータも計算に含めた。
多型座位の割合(Ppoly)および平均ヘテロ接合体率(H)について,コマーシャル•ウズラ9集団の平均値と標準偏差はそれぞれ0.302±0.055と0.101±0.010と評価された。これらの値は研究用ウズラ4集団のそれらの値よりも約1.25倍大きかった。
遺伝的分化の程度(FST)は,コマーシャル集団間で0.055,研究用集団間で0.155と計算され,コマーシャル集団間にはほとんど分化を認めることはできなかった。
遺伝距離と主成分分析の結果から,ウズラ16集団は次のような4つのクラスターに分類された。すなわち,(1)野生ウズラ3集団,(2)日本のコマーシャル7集団とカナダの研究用1集団,(3)カナダの研究用2集団そして(4)体重大選抜された3集団であった。

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