抄録
ヒナの異なる部位から採取し,ザイモザンあるいはPMAで刺激した食細胞(好異球とマクロファージ)における個々のスーパーオキサイド産生能を細胞質の還元NBTの濃度から推定した。さらに,これら個々の食細胞のスーパーオキサイド産生能と貧食活性に対する絶食の影響を調べた。顕微鏡観察により,還元NBT濃度は染色性により無染色から強染色までの4段階に区分し,それをそれぞれの食細胞の4段階のスーパーオキサイド産生能とした。また,食食活性は個々の細胞に取り込まれたザイモサンの数によって調べた。
好異球に関しては,弱い染色性を示す細胞の割合は腹腔よりも血中において有意に高く,強い染色性を示す細胞の割合は血中において有意に低かった。マクロファージでは,染色性を示さない細胞の割合は肺胞と脾臓の細胞で腹腔の細胞や単球に比較して有意に高く,中程度や強度の染色性を示す細胞の割合は逆に単球や腹腔の細胞に比べて有意に低かった。これらの結果は,ヒナの食細胞の殺菌活性について部位差を検定した報告に一致した。腹腔と血中の好異球,腹腔マクロファージと単球では,絶食によって中程度および強度の染色性を示す細胞の割合が有意に減少し,弱染色細胞の割合は逆に有意に上昇した。以上の結果は,絶食がこれらの食細胞の中のスーパーオキサイド産生能が高い細胞に特に強く作用することを示唆している。さらにこの結果は,ニワトリの食細胞にはスーパーオキサイド産生活性に関する異質性が存在することを示している。肺胞と脾臓のマクロファージでは,大部分の細胞が無染色細胞であることから絶食の影響を明確に捕らえることはできなかった。マクロファージにおける食食活性は絶食によって影響されなかった。この結果は,好異球の貪食活性に対する絶食の影響について報告されている結果に一致した。