日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
ニワトリ呼気中13CO2測定用開放型呼吸試験装置
神 勝紀熊王 俊男唐澤 豊
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2001 年 38 巻 5 号 p. J86-J92

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抄録

13C化合物を投与したニワトリの呼気CO2中の13C atom%を気管カニューレなどの呼吸器具を使わずに連続的に測定する目的で,呼吸チャンバー型の呼吸試験装置を作製した。装置の取り扱いの簡便化と低コスト化を図るために,赤外分光型13CO2アナライザーを用いた。一般に,呼吸チャンバー型の呼吸試験装置ではチャンバー内のCO2濃度を1%未満に設定することが必要条件となるが,汎用性に富む本アナライザーの定量計算プログラムはCO2濃度1%未満の条件下では13C atom%を算出するように設定されていない。そのため低CO2濃度条件下における13C atom%の算出のための検量線を組み込み,呼吸試験装置の性能試験を行った。その結果,CO2濃度が0.65%以上であれば13C atom%を測定し得ることが示された。この時の本装置のCO2回収率は約108%であった。そこで,実際に3ヵ月齢のニワトリを用いて,[U-13C]グルコース(98 atom%)を血中投与(12.5 mg/kg体重)したとき呼気中に排出されるCO2の13C atom%を5時間にわたって10分間隔で測定した。同位体投与前における呼気CO2の13C atom%の測定値は1.091%と算出され,13Cの自然存在率(1.108 atom%)よりわずかに低かったものの,測定値の変動はほとんど認められなかった。[U-13C]グルコースの投与直後から13C atom%は急増し,約100分後に最高値(1.274 atom%)に達した。その後,約240分後までゆるやかに減少し,それ以降は実験終了時まで低い値(約1.14 atom%)で推移した。以上の結果から,本装置はニワトリの呼気CO2中13C atom%の連続測定が可能であると判断された。

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