抄録
水溶性窒素指数 (NSI) の異なる23種類の大豆粕と, 5種類の市販の飼料用大豆粕について, それぞれを主要蛋白質源とする飼料を与えたヒナの4週間の成績とNSIとの関係を検討し, 大豆粕の栄養価を判定する指標としてNSIの信頼性を明らかにし, あわせて, 指標とする場合に, 栄養価が高いとみなしうる大豆粕のNSIの上限値を求めることを目的として研究を実施した。
その結果, 同一原料から同時に製造した種々の大豆粕を同時に比較検討する場合には, ヒナの増体量や飼料効率と大豆粕のNSIとの間に高い負の相関が認められ, したがって, この条件の下では, 大豆粕の栄養価を判定する指標としてNSIは有効であるといえた。
しかしながら, 大豆粕のNSIは, 製造後に経時変化をすることが確かめられ, その変化は製造方法などによって相違することが示された。したがって, 原料, 製造方法, 製造日時などを異にする大豆粕の栄養価を判定する指標としては, NSIは適当ではなく, 強いて利用するとしても, 大まかな目安にすぎないといえる。この場合の目安として, NSI33%以下の大豆粕であればほぼ安全圏内にあるとみなすことができるが, 最終判定は,動物実験成績などの判定基準によらなければならない。
大豆粕製造後のNSIの経時変化は, 主として水溶性窒素量の変化によるもので, ウレアーゼ活性, トリプシン阻害活性などには特定の経時変化が認められなかった。