日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
雄雛の甲状腺機能におよぼす環境温度の影響
信国 喜八郎岡本 正幹
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1972 年 9 巻 1 号 p. 11-16

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抄録
鶏の甲状腺機能におよぼす環境温度の影響を検討するため, 白色レグホーン系コマーシャルの雄雛を5, 20および35°Cの各温度区で飼育し, 甲状腺のホルモン分泌率およびろ胞上皮高の測定を行なった。甲状腺のホルモン分泌率は甲状腺肥大抑制法によって測定し, 温度処理期間は28日齢時から10日間とした。
その結果, 5および20°C区のホルモン分泌率はいずれも体重100gあたり1日約1.7μgであったのに対して, 35°C区は約1.0μgであった。また対照群の雛の甲状腺ろ胞上皮高についても5°C区と20°C区はほとんど差は認められなかったが, 35°C区はこれら2区より低く, その差は有意であった。
つぎに14日齢および28日齢時から雛を前述の3温度で処理し, 処理開始0, 4, 7および11日後にろ胞上皮高の測定を行なったところ, いずれの雛においても, 35°C区のろ胞上皮高は5および20°C区より低く, 処理開始4日後にはすでに有意差が認められた。5°C区と20°C区との間には差は認められなかった。
これらの結果から, 雄雛の甲状腺機能は高温環境下では, 処理開始後4日以内にすでに減退しているが, 低温環境下においては, 10日程度の処理期間ではほとんど変動しないものと考えられる。
なお20°Cの温度条件下で, 0.075%サイオユラシル投与が飼料摂取量および成長におよぼす影響を28日齢時の雛を用いて検討したところ, 投与1, 2日後に飼料摂取量は急激に減少し, その間は成長も停滞するのが認められた。以後飼料摂取量は回復し, それにともなって成長も回復する傾向をしめした。これらの現象はサイオユシル投与と同時にL-サイロキシンを投与したばあいにも同様に認められた。
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