抄録
兵庫県, 鳥取県, 岡山県, 山口県, 徳島県および福岡県の養鶏関係試験機関において, 1968年春ふ化および秋ふ化の白色プリマスロック種雌1,550羽を供用し, 定量給餌法およびスキップ給餌法による制限給餌の効果およびふ化時期の相違による効果の差について, 7週齢から72週齢にわたって試験した。
試験区分は自由摂取法を対照区とし, 24週齢体重が対照区の70%を目標とした育成期のみ定量給餌法による制限給餌の区 (RF区と略す), 育成期70%制限, 成鶏期後半再び定量給餌の区 (RR区と略す), 育成期のみ1/2スキップの区 (1/2F区と略す), 育成期および成鶏期を通じて1/2スキップの区 (1/2R区と略す) の5区を設けた。
1. 70%制限区のRF区およびRR区は対照区に比べて性成熟, すなわち, 産卵率50%到達日齢が26日遅れたが, 初産卵重は4g大きく適格種卵産卵率ではRF区が6.2%, RR区が5.0%すぐれ, 種卵1個当たり飼料費では, RF区が3.35円, RR区が4.20円安い数値であった。
2. 1/2スキップ区は対照区に比べて24週齢体重が91%, 性成熟は16日遅れ, 初産卵重は2g大きかった。適格種卵産卵率では1/2F区は3.6%すぐれたが, 1/2R区は1%劣った。種卵1個当たり飼料費では1/2F区が2.46円, 1/2R区が1.92円すぐれており, 対照区と70%制限区の中間の値を示した。
以上の成績から育成期の量的制限給餌法としては, 24週齢体重70%制限法, 1/2スキップ法ともに効果が認められたが, 70%制限法は1/2スキップ法よりすぐれる傾向であった。また, 育成期70%制限および成鶏期後半の定量給餌法は育成期のみ70%制限法に比べて, 産卵ではやや劣るが経済性ではむしろすぐれる成績であり, また, 育成期および成鶏期1/2スキップ法は産卵にかなりの悪影響を示したが, 経済性では効果があり, 省力の効果も考えると有効な方法である。
なお, ふ化時期の差については統計的に有意でなく, ふ化時期と給餌方法の交互作用についても, 卵重53g到達日齢を除くと有意差は認められなかった。