日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
近交系間交配ウズラにおける近交退化と遺伝的荷重
新城 明久水間 豊西田 周作
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1972 年 9 巻 6 号 p. 254-260

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抄録

全きようだい交配を2~4世代行なった近交系間交配ウズラ (インクロス) の, 適応度におよぼす近親交配の影響を, 11週齢から13週齢までの3週間に産んだ卵について調査した。そして諸形質の退化の程度を近交係数に対する荷重 (重みづけ) 回帰で示すとともに遺伝的荷重を推定した。
1) 全きようだい交配区では世代の進行にともない適応度指数は著しく退化し, 4世代目では6.0%となり, 5世代以後全きようだい交配を続けることが困難となった。
2) 近交係数が10%増加することの諸形質の退化の程度は, 産卵率, 育成率および適応度指数で顕著で, 有意な回帰係数が得られ, それぞれ3.38, 6.34, 9.56%ずつ退化した。またその他の入卵率, 受精率, ふ化率にも同様近交退化の傾向が認められた。
3) 5世代目まで子孫を残した組合せにっいて退化の程度を検討しても, 全きようだい交配区全個体から求めたそれとほぼ同様な値を示した。
4) 全きようだい交配区の産卵率, 入卵率, 受精率, ふ化率および4週齢までの育成率の値を合計して得られた1接合体当りの致死相当量は7.52と推定された。また荷重比は9.7と小さい値を示した。
5) 以上の成績より, ウズラ集団の遺伝的荷重は, 突然変異による荷重よりも分離による荷重が大きく, ウズラの近交退化は急激なホモ性の増大による多くの遺伝子座にあるポリジーンのヘテロ性の低下が原因として大きいものと考察し。

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