日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
ナタネ粕の養鶏用飼料価値に関する研究
窪田 大作土黒 定信久保 辰雄松島 正洋野口 進今井 一郎飯野 雅夫平野 公夫田家 清一
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1972 年 9 巻 6 号 p. 274-280

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抄録

有成期 (8週齢) より産卵期 (64週齢) を通して, ナタネ粕の配合割合をそれぞれ0, 4, 8および12%と一定にした飼料を給与して飼養試験を実施した。供試したナタネ粕はカナダよりナタネを輸入して採油したものと, 日本で裁培したナタネより採油したもの種類を用いた。
飼養試験の結果は次のようである。
1) 育成期にナタネ粕を多給すると飼料摂取量が減少し, 特にJでは8%の配合量でも減少の傾向が認められるが, 体重には影響が認められなかった。また, 初産日齢や初産卵重にも影響が認められなかった。
2) 16週齢 (試験開始後8週齢) の甲状腺重量は, ナタネ粕を給与すると一般に肥大の傾向の傾向示すが, Jでは8%以上の配合量で統計的にも明らかに肥大した。また, Jの配合量を増すと, 配合量に応じて甲状腺は肥大した。しかし, Cでは対照区に比較して統計的には5%水準の危険率においても差が認められなかった。しかしながら, ナタネ粕を長期間給与した場合にはJおよびCともに甲状腺は明らかに肥人した。
3) 産卵率はJの配合割合を増すと低下の傾向を示し, 12%配合区では統計的にも明らかに低下した。しかし, Cでは対照区に比較して明らか差は認められなかった。
4) 産卵期の飼料摂取量, 飼料要求率および生存率に差が認められなかった。
5) 卵重およびふ化率はJおよびCとも12%配合区が対照区に比較して明らかに差が認められた。
6) J12%配合区の卵を, 幼雛用飼料の蛋白質源として17% (風乾物) 配合して給与したが, 4週齢の雛の甲状腺は肥大しなかった。

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