科学哲学
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医療の哲学にむけて1
佐藤 純一
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1999 年 32 巻 2 号 p. 25-37

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抄録
本稿で論じた論点において,論者のコミットしたい「医療の哲学」は,医学の方法・概念を対象化し,医療が社会的文化的行為(現象)であることを確認し,人々(患者・layman)の視点・realityを包摂するようなものとして構築される「医療の哲学」である.そのような「医療の哲学」の構築には,医学や哲学だけではなく,社会学・人類学などの様々な領域・方法の共同作業が必要であることは,ここまでの議論で明白であろう.とくに「科学哲学」の参加への要望・期待は非常に大きいものである.なぜなら,医療・医学の分析においての科学哲学のもつ方法の可能性と同時に,本稿で論じた「医療の哲学が検討せねばならない諸問題」は,科学哲学が検討して行かねばならない「問題」と通底していると思われるからでもある.感応する議論が出てくるのを期待したい.
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