2023 年 3 巻 2 号 p. 2_23-2_33
目的:本調査は,理学療法士(physical therapist:以下PT)における歩行分析の観察の過程に着目し,その困難感の要因について明らかにすることを目的とした。方法:対象は,無作為に抽出した192施設に属するPT3,840名とした。アンケート内容は,歩行分析全般の困難感に関する設問(1問)と,観察の過程の困難感に関する設問(12問)から構成した。統計解析は,歩行分析全般の困難感に関する回答から分類した困難感あり群となし群の2群を目的変数,観察の過程における困難感に関する回答を説明変数としてロジスティック回帰分析を用いた。結果:歩行分析全般に関する設問において7割以上のPTが困難感を抱いていることが明らかになった。ロジスティック回帰分析の結果,観察精度が歩行分析全般の困難感に関する要因として抽出された。結論:PTが歩行分析に抱く困難感は,観察精度の要因と関連することが示唆された。